沖縄県は、日本の中でも鉄筋コンクリート(RC)造の住宅の割合がとても多い県です。
頑丈なRC造の住宅は、台風対策にも最適なため沖縄で広く一般住宅に普及したようです。
毎年のように沖縄近海を通過する台風は、大小ざまざまですが、建物への被害は他県に比べてそう大きくはありません。
ただし、台風や海風に常にさらされる沖縄のRC造の住宅は、塩害被害も多く劣化を免れません。
劣化はRC造の住宅にとって、耐久性と安全性に関わる深刻な問題です。なんの対策も無しに住み続けると、最悪の場合、建物が崩壊する危険すらあります。
今回は、RC造の住宅の劣化を防ぐための対策などについて説明していきます。
「ジメジメ」こそが劣化の初期症状
夏が長く、高温多湿な沖縄ですが、海からの風が吹き抜けることで陸地が冷やされ、意外にも涼しく過ごしやすい地域です。
だからと言って、RC造の住宅の場合、扇風機で日中を過ごすには暑すぎるため、ほとんどのRC造の建物ではエアコンが完備されています。また、周辺にある米軍基地から飛来する航空機の騒音対策で防音工事とセットでエアコンの設置がされる地域も多く、沖縄のRC造の住宅にはエアコンは欠かせない存在です。
夏場に欠かせないエアコンですが、室内を冷やす冷房と室内の湿気を取り除く除湿機能が大活躍します。
室内で嫌なジメジメを感じることがある場合、エアコンの除湿機能に頼ってしまい、見逃しがちですが、もしかしたらRC造の住宅が劣化している初期症状の可能性があります。
部屋に湿気が入ってくるということは、雨漏りと同様、コンクリートに隙間ができている可能性があります。この隙間は放置しておくと、少しずつ大きくなり、コンクリートの内部に水分や酸素が侵入し、中の鉄筋に悪影響を及ぼします。
特に、台風の多い沖縄では、海水を含む雨風が建物に毎年のように降り注ぎます。ただの水でも、コンクリート内部に水が侵入することは致命的なのに、塩分を含む水分は、コンクリート内部の鉄筋を錆びさせ脆くしたり、鉄筋が膨張しコンクリートが耐えきれず爆裂してしまいます。
エアコンで快適な環境になって見過ごされがちな、室内のジメジメは、建物劣化の重要な初期症状です。この初期症状を見逃さずに対処できたら、建物の劣化を食い止め長く安全に住み続ける鍵となります。
ほかにも、劣化のサインが8つあります。
建物の異変をチェック!コンクリート劣化の8つのサイン
RC住宅でこのような症状を見たことはありませんか?
「雨漏り」、「ひび割れ」、「壁面に白い粉がつく」、「塗膜の劣化」、「剥がれ」、「さび」、「汚れ」、「ボコっと鉄筋の腐食」。これらの症状は、コンクリートの劣化の重要なサインです。
詳しくは、こちらの記事にくわしく書いていますので、ぜひチェックしてみてください。
【島国沖縄の住まい事情】頑丈なコンクリート住宅が倒壊するって本当?
建物の劣化は早期対応が鍵
頑丈なRC造の住宅に長く安全に住み続けるためには、建物の劣化のサインにいち早く気づき、メンテナンスを行うことがとても重要です。
対策が早ければ早いほど効果的で、早めの工事を行うことで、コンクリートのひび割れを防ぎ、内部への湿気や酸素の侵入を防ぎます。コンクリートは内部が酸化しなければ、強度は長期間維持します。
RC造の住宅を劣化から守るための対策が「防水」です。水分から建物を守る防水こそが、建物の寿命を伸ばし、快適な住環境の鍵となります。
RC造のメンテナンスに「防水工事」
防水工事は、RC造の住宅を劣化から守るための重要な工事です。防水工事の一般的なプロセスを説明します。
1. 評価と診断
まず、コンクリートの状態を評価し、問題の特定を行います。初期の症状や建物の内部にかくれている問題を特定するために、専門的な知識を持った業者による診断が行われます。そして、その評価の結果に基づいて、最適な対策が計画されます。
2. 防水材料の選定
次に、建物の状態に合わせた適切な防水材料を選びます。防水工事の種類によって異なりますが、一般的には防水塗料、シーリング材、防水メンブレンなどが使用されます。選定された材料は、コンクリート表面に施されます。
3. 表面の処理
コンクリート表面に発生したひび割れや不均一な部分は修復されます。こうすることで、防水材料の密着性が向上し、防水の効果が強化されます。
4. 防水層の施工
表面の処理が終わると、防水材料がコンクリート表面に施されます。接合部やコーナーの処理など特に注意深く処理します。壁面や屋上、屋根など、防水層が水の侵入を防ぎ建物を守ります。
5. 適度なメンテナンス
防水工事の完了後も、定期的なメンテナンスは重要です。せっかくの防水層が磨耗したり、効果を失わないように、定期的な点検と補修を行うことがコンクリートの耐久性を保つために欠かせません。
RC造を水分から守り安心の住環境を手にいれる
水分が大敵なRC造の住宅にとって、劣化から守るために必要不可欠な防水。安心の住環境で長く住み続けるためにもとても重要な対策と言えます。
湿気や水の侵入から建物を守ることで、室内の快適さが向上し、湿気によるカビなどの健康被害からも守られます。
また、防水工事を行うことで、建物の価値が維持され、将来的な売却の際にも有利になることでしょう。
新築や中古住宅の防水について
RC造の住宅にとって劣化は、建物も安全性に深刻な影響を与える可能性があるため、初期の兆候を見逃さず、早めの対策をとることが重要です。
防水工事は、コンクリートの劣化を防ぐための有効な手段であり、新築の時点で行うことをおすすめします。また、中古で物件を購入する際や、長く住み続けている場合も、防水対策が施されているか?防水処理が劣化していないかなど、確認することが重要です。コンクリートの防水を通じて、住宅を劣化から守り、その耐久性を確保しましょう。
まとめ
沖縄の住環境にとってRC造の住宅は欠かせない存在です。台風被害から家族を守る頑丈な建物ですが、劣化のサインを見逃すと建物に深刻な影響を与える可能性があります。
建物を劣化から守るために重要なステップである「防水」を施すことが、RC造の住宅の寿命を伸ばします。劣化の初期症状や劣化のサインを見逃さず、早め早めの対応を行うことで、建物と家族の安全な住まいを維持することに繋がります。
防水工事は専門家のサポートを受けながら、建物の状態に合わせて適切な施工を行うことが必要です。大きな被害と、多額の補修工事で多額の工事費用がかかる前の早めの段階で防水工事の相談、見積もり、調査を行うことをおすすめします。
建物の長寿命と快適な居住環境を確保するために小さなサインも見逃さないよう、住まいのチェックをしてみてください。