毎年のように発生する台風や厳しい直射日光など自然環境の厳しい沖縄。実は、建物にとっても過酷な環境ですが、沖縄の住宅を見渡すと、コンクリート(RC)造の住宅が多いことに気がつきます。沖縄県の資料によると、県内の住宅のおよそ8割がRC住宅です。
台風や海風に常にさらされ、塩害被害も多い沖縄にとって、木造や鉄骨造の住宅よりもRC住宅が多いのは、その丈夫な構造ゆえ。
コンクリートは、セメント、砂、砂利、水を混ぜて固めた建築材料です。コンクリートは、耐久性や強度に優れていることから、住宅やビル、道路など、さまざまな構造物に使用されています。
また、骨組みに鉄筋を使用すると強度はさらに増し、とても頑丈な建物が完成します。
頑丈なコンクリート造の住宅ですが、コンクリートも劣化してしまいます。コンクリートが劣化すると、建物の安全性や耐久性が低下します。
RC住宅でみられる劣化の原因について詳しく見ていきましょう。
危ない!コンクリート住宅倒壊の危機!
建物の建築素材として頑丈なコンクリートですが、なんの対策なしでは、劣化は免れません。
コンクリートが劣化する原因は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
1.水
コンクリートは水で固まるため、硬化したコンクリート内部に水が混入してしまうと劣化が進みます。また、水を吸収しやすい性質があるため、水がコンクリートに浸透すると、コンクリートの内部で化学反応が起こり、劣化が進行します。
水分を含んだコンクリートは、凍結・融解を繰り返すとひび割れや剥離が発生し、水分は鉄筋の腐食を促進し、コンクリートの強度を低下させます。
2.酸性雨
酸性雨は、大気中の二酸化炭素や硫黄酸化物などの酸性物質が雨水に溶け出したものです。酸性雨はコンクリートの表面を溶かしたり、鉄筋の腐食を促進したりして、劣化を加速させます。
3.塩害
沖縄のように海に面した地域では、塩害によるコンクリートの劣化が問題となっています。塩は鉄筋の腐食を促進します。また、塩分が結晶化することで、コンクリートにひび割れや剥離が発生します。
以上の、水、酸性雨、塩害などがコンクリートが劣化する原因です。では、劣化することで建物にどのような症状が現れるでしょうか?詳しく見ていきましょう。
コンクリート劣化のサイン
RC住宅でこのような症状を見たことはありませんか?
雨漏り、ひび割れ、壁面に白い粉がつく、塗膜の劣化、剥がれ、さび、汚れ、ボコっと鉄筋の腐食など。これらの症状は、コンクリートの劣化によるものです。
雨漏り
家の中がジメジメして湿気がひどくなったり、雨漏りすることはありませんか?このような症状が起こったら、建物は構造的にはかなり深刻な状態の可能性があります。実は、目に見えないところでコンクリートに細かいひび割れが発生しています。
コンクリート表面にひび割れや穴が開くと、雨水が内部に浸入して雨漏りを引き起こします。
ひび割れ
コンクリート表面に小さなひび割れが目立つようになったら、劣化の初期段階と考えられます。ひび割れが大きくなると、鉄筋の腐食が進んでコンクリートの強度が低下します。
コンクリートは、乾燥や収縮によってひび割れを生じます。ひび割れが大きくなると、コンクリートの強度が低下し、構造上の安全性が損なわれる。
また、ひび割れが目に見えるようになると、コンクリート内部の深い所まで水分が入り込んで、鉄筋の腐食がじわじわと始まっています。
壁面に白い粉がつく
コンクリートや塗装面の表面が白っぽくなって手で触ると白い粉がつくことがあります。チョーキングと言われ、白い粉は、コンクリートや塗膜の成分が水分と反応して生成したものです。
コンクリートや塗膜が劣化して水分がしみ込みやすくなっているサインです。
塗膜の劣化、剥がれ、さび、汚れ
コンクリートの表面を保護している塗膜が劣化すると、コンクリート自体が劣化しやすくなります。また、塗膜が剥がれたり、さびや汚れが付着したりすると、見た目にも悪くなります。
塗膜の劣化は、コンクリート表面を保護する機能を低下させ、コンクリートの劣化を促進させるのです。
コンクリートが劣化すると、建物の安全性が損なわれるだけでなく、見た目にも悪影響を及ぼします。もしコンクリートの塗装がはげていたり、汚れが目立つなど見た目にも劣化している場合は、早めに補修・改修を行うことが重要です。
ボコっと鉄筋の腐食
コンクリートの表面がボコっと盛り上がっていたり、鉄筋が露出している場合は、鉄筋の腐食が進んでいるサインです。
鉄筋が腐食すると、コンクリート表面にボコっとした膨らみが生じたり、コンクリートが盛り上がって剥がれ落ちることがあります。鉄筋がさび腐食が進むと鉄筋が膨張し、コンクリートの強度が低下し、構造上の安全性が損なわれます。鉄筋もコンクリートの自重を支えられなくなってます。
またコンクリートが剥がれ落ちると剥がれ落ちた部分から水分が入り込み、さらなる劣化につながります。
最悪の場合、コンクリートが頭上に落ちる危険もあり、いますぐメンテナンスが必要です。