日本の南に位置する沖縄県は年間を通して温暖な気候で、夏の時期は太陽の直射熱も厳しい地域です。そのため、沖縄の住宅は暑さ対策がとても重要となります。
沖縄の住宅を見渡すと、コンクリート(RC)造の住宅が多いことに気がつきます。沖縄県の資料によると、県内の住宅のおよそ8割がRC住宅です。
その昔は、赤瓦の屋根と木造の住宅の多かった沖縄ですが、RC住宅が沖縄の住環境に受け入れられた背景には、過酷な沖縄の自然環境があります。
なぜ沖縄の住宅にはRC造が多いのか?
木造住宅が一般的な他府県に比べて、沖縄県の住宅にRC造が多いのはなぜでしょうか?
米軍基地内の住宅のほとんどがRC造で、戦後に外人住宅として基地外にもRC住宅が普及し、沖縄県民もRC造の自宅を建てるようになりました。RC住宅が沖縄の人々に受け入れられた背景には、沖縄をとりまく自然環境やRC造の構造的な特徴が理由に挙げられます。
1.猛烈な台風にも負けない耐風性・耐久性!
日本列島の南に位置する沖縄は、台風被害の多い地域です。赤道付近の海上で発生した台風は、発達しながら北上し、多くの台風は沖縄近海を通過します。台風の通り道として、毎年のように沖縄では台風の風雨被害にあいます。
そのため、沖縄では耐風性・耐久性に優れたRC造の住宅が受け入れられています。毎年のように発生する台風による被害を軽減する強度の高い建物は、沖縄の住環境にとって重要です。
2.耐用年数が長くメンテナンスのしやすいRC造
RC住宅は、木造住宅に比べて耐用年数が長いのも特徴です。下記の表から、木造以外の構造に比べてもダントツにRC造の耐用年数が長いことがわかります。
構造 | 法定耐用年数 |
木造、合成樹脂造 | 22年 |
木骨モルタル造 | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造、RC造 | 47年 |
れんが造、石造、ブロック造 | 38年 |
金属(鉄骨)造 | 34年 |
木造住宅のように風雨や浸水による躯体の腐食やシロアリによる被害もうけにくく、RC住宅は構造的にも頑丈です。
ただ、RC造だからといって何もしなくてもいいわけではなく、丈夫なRC住宅に長く住み続けるためには、コンクリート内部に水が侵入しないように防水などの定期的なメンテナンスが必要です。
RC住宅はなぜ暑い?RC造のデメリット
良いことばかりに思えるRC住宅ですが、建物自体が熱しやすく冷めにくいという特徴が沖縄の自然環境と合わさることで、とても快適とは言えない住環境になります。
RC造には気密性が高く、熱伝導率が高く、蓄熱性が高いという特徴があります。
気密性が高いと、建物内の空気が外に漏れにくく外の空気が室内に入りにくいという特徴があります。換気が不十分だと、建物内の湿気がこもりやすくカビやすいというデメリットがあります。
熱伝導率が高いと、建物表面の暑さや冷たさが建物全体に影響します。
蓄熱性が高いと、熱を保持するのでいったん暖まると冷めにくいという特徴があります。
RC造のこれらの特徴は、沖縄の過酷な自然環境において、何の対策もしなければ、住環境にとってはとても住みにくい過酷な環境を生み出します。
熱伝導率も蓄熱性も高いRC造は、夏場に直射日光で建物の屋根や外壁が熱くなると建物自体の温度も高くなります。また冬は外気で建物が冷えると室内も冷えたままになります。
RC造の気密性の高さはエアコンの効きを良くしますが、RC造の特徴である、熱伝導の高さ、蓄熱性の高さを何の対策もなしにすると、エアコンだけでは夏場の暑さも冬場の寒さも到底やり過ごすことはできません。
沖縄の自然環境は、建物にとっても過酷な環境なのです。そこでRC造の住宅で必要不可欠な対策が、「遮熱」、「断熱」となります。
RC造で快適に暮らすための「遮熱」&「断熱」
太陽の熱を遮ることを「遮熱」、室内への熱の伝わりを防ぐことを「断熱」といいます。RC住宅で快適な生活を送るためには、この遮熱と断熱がとても重要です。
RC造の住宅に遮熱断熱が施されていない場合、先に挙げたように、どんなに冷暖房をつけても建物自体が夏場は熱く、冬場は冷たくなってしまい、快適とは程遠い住環境になってしまいます。
遮熱、断熱ができていないだけで、夏も冬も冷暖房費がかさんでしまい、地獄のような暑さ、寒さ、そして高額な光熱費に悩ませられる生活を送ることになりますす。
もう少し詳しく遮熱と断熱についてみていきます。
1.遮熱しないとRC住宅での暮らしはどうなる?
遮熱とは太陽の日射熱が建物に吸収しないように反射することを言います。直射日光が屋根に当たると表面温度は最高80度まで上がります。
熱伝導率の高いRC造では、太陽光が屋根や壁に直接あたり建物表面に高熱が発生すると、建物内部まで熱が伝わってしまいます。また蓄熱性が高いので建物はそのまま熱くなってしまいます。沖縄の夏場の暑い日差しは、RC造の特徴でもある熱伝導率の良さと蓄熱性の高さで建物自体を温め、室内を過酷な環境にします。
建物の屋根や壁面などに遮熱が施されていると、外気熱をシャットアウトでき、建物への蓄熱や熱伝導を軽減することができます。
遮熱は、建物にふりそそぐ日射熱を軽減し、建物自体に熱が伝わることを防ぐ効果があります。
2.断熱しないとRC住宅での暮らしはどうなる?
断熱とは外気の日射熱を建物内部に伝える熱の量を減らすことです。夏に外気からくる熱を侵入させないようにすることや、冬には温められた部屋の中の暖気が外に逃げていかない目的があります。
RC造の蓄熱性は断熱があってはじめて活かされます。断熱がないと、夏は太陽光で熱せられ建物自体が熱くなり、冬は室内の熱を奪うという悪循環が生じます。
どんなに冷房で冷やしても、断熱なしでは、部屋を涼しく保つことはできません。
遮熱断熱の必要性と効果とは?
RC住宅に遮熱と断熱をするためには、遮熱工事や断熱工事が行われます。これらの工事を施すことで、以下の効果が期待できます。
- 夏は涼しく、冬は暖かく過ごせる
遮熱をすることで夏は屋根や外壁からの熱の侵入を防ぎ、断熱をすることで室内を涼しく保つことができます。また、冬は室内の熱の逃げを防ぎ、暖かく過ごすことができます。
- 冷房・暖房の効率が上がり、光熱費を抑えられる
断熱することで蓄熱性、気密性の高いRC造の室内環境が保たれ冷房・暖房の効率が上がり、光熱費を抑えることができます。
- 建物の劣化を防ぐ
遮熱断熱工事を施すことで、屋根や外壁の劣化を防ぐことにもつながります。
遮熱断熱工事には、以下の方法があげられます。
- 屋根や外壁に遮熱塗料を塗る
- 屋根に遮熱シートを貼る
- 壁の内外に断熱材を施す
- 窓に遮熱フィルムを貼る
DIYでできることから、専門業者におねがいするなど、いろいろと対策が可能です。RC住宅の良さを最大限に活かすためにも、遮熱と断熱の必要性をぜひ知っていただきたいです。
まとめ
夏が長く台風の襲来など自然環境が厳しい沖縄ですが、RC住宅の良さを最大限に活かすためにも建物への遮熱断熱は必要不可欠です。
暑さ対策など快適な住環境のために欠かせない遮熱断熱ですが、工事となるとやはり費用はかかります。ただ、長期的にみてみると、光熱費の削減や建物の劣化防止など、費用的にも長く住むためにも様々なメリットが期待できます。
夏は家の中が暑く、冬は外気と同じくらい寒すぎる!冷暖房の効きが悪い、光熱費が高いなど、住環境でお困りの方は、ぜひ建物の遮熱断熱対策をされてみてください。
琉球ゴーレックスは、創業1965年から遮熱、断熱、防水など、この道一筋で歩んできました。
沖縄県内でも圧倒的な実績・経験を持っていますので、些細なことでも是非ご相談くださいませ。